松尾スズキが

おとといかな?発表された日。
松尾スズキの『クワイエットルームにようこそ』という小説が芥川賞候補に選ばれたのを知った。
わたしは松尾さんの文章が大好きなので、戯曲以外はほとんど読んでて、新しいの出たらだいたい買ってるんだけど、これはまだ読んでなかった。
雑誌『文學界』に掲載されたときも、単行本が発売されてからも、何度も何度も読もうと、買おうと手に取って、手に取っては、戻してた。
立ち読みをするじゃない。
冒頭のゲロが耐えられなかったの。
数々のデンジャラスシーンにも耐えて読んできた私だけど、あのゲロだけはどうも完全に受け付けなかったらしく。
というかまあ、冒頭だったからなんだと思うけど、これが続いたらムリだ!!と思っちまって。
でもその日、やっぱ読まなきゃいけないと、一念発起して買って帰って、昨日読み終わった。
ああ、あのゲロに耐えて良かったです。やっぱり松尾さんが書くものは、汚いことがどこか下劣じゃないんだ。もうちょっとだけ信じてがんばって立ち読みしとけばわかったのに。ゲロの小説じゃないということが。
むしろ、わたしの知る中では、小さな落ち着いた物語だった。ちゃんと地面を歩いてるような。
や、でもやっぱり、読み終わって気付いたら、足もとに地面はなかったかもな。

クワイエットルームにようこそ

クワイエットルームにようこそ